記事としては非常に今さら感があるけれど、、、KiCadのホットキーの初期設定を載せてみる。
下の図はEeschema(回路図エディタ)のホットキーの初期設定リスト。マウス操作と併用することでオペレートのスピードアップになる。
昔のCADシステムは大きなデジタイザやらボタンボックスやら色々な入力デバイスがあった。仕事で使うのであれば、こういうホットキーもプログラマブルキーボードに登録しておくと更に作業が捗ると思う。
投稿者アーカイブ: silvermoon
Kicad次期バージョン確認中
Kicadの次期バージョンのRC版が公開されている。(4.0版リリースに伴い公開終了)
大きな違いはPcbCalculatorという設計支援機能が追加された事だ。
レギュレータのVrefと抵抗値の選定やストリップラインなどの伝送線路の設計、パターンの温度上昇やいくつかの参考資料も載っている。今までシミュレーションソフトやサイト、電卓を行き来していたのがずいぶん楽になると思う。
他にも、基板エディタPcbNewでは部品作成時にフットプリント内部にNPTH(メッキ無しの穴)を設定できるようになっている。
以前は基板外形層で円入力するしかなかったが、基板を描く人もガーバーを受けとって編集する人(基板屋さん)もずいぶん楽になる。
どんどん進化するのがKicadの良いところだと思う。
本番での検証2
前回、複雑な基板形状で変更が出た場合、Kicadでどうしたものかと書いたが、以下の方法で対応できると気がついた。
(0.DXFなどの基板外形データを、拡張ガーバーに変換しておく)
1.空きレイヤーを用意して、元の基板外形データを空きレイヤーに移動(レイヤーのスワップ)
2.変更前の基板名を適当な名前(PWB_old.brd)に変更
3.Gervviewでガーバー変換されている新基板外形を読み込み、プロジェクトの存在するディレクトリにマスターとする基板名で保存(PWB.brd)
4.外形データだけの新基板(PWB.brd)を開き、「ファイル」→「ボードを追加」で元の基板をインポートする
5.保存時にPWBーappend.brdというファイルで保存しようとするので、PWB.brdとして保存
ボードの追加は基板の面付けの際に使う機能と思い込んでいたが、インポート後もネット情報がそのまま残っているのを思い出して試してみたところ、外形変更、インポート後もネット変更など問題なく作業できたので、商用CADより一手間かかるものの、複雑な基板形状でも変更対応が出来ることがわかった。
この手順だと、外形変更が生じる際には旧データのバックアップが必ず残るし、古い外形と新しい外形を画面上で重ねて確認できるので、そういう意味でも良いと思う。
本番での検証
社内で基板を描ける人間がいて、ソフトもあるという事で、今の会社では初めて量産向けの基板を描く事になり、試作基板をKicadで設計している。仕様的には、200ピンちょっとのデジアナ混在基板、回路規模は小さいけれどアナログがちょっと気を使うもので、ミシン目接続の2種複合基板として、量産時にはこれを各2面付けの予定。
これまでも既存の回路図から数枚の基板を描いてKicadの確認をしてきたが、今回は実際の量産設計の流れに則っているので、途中での様々な設計変更があり、それらについてもKicadが対応できるか、良い検証が出来ている。
実戦での感覚としては高額な商用CADには及ばないものの、数百ピン程度の基板設計は十分対応できそうだと感じた。
設計変更に伴うネット変更や、フットプリント形状を更新したときの動作、回路ブロックの移動やシールド面の編集、異種複合基板の作成や機構的な基準位置の移動など、実際に起きる変更のかなりの部分を今回試すことが出来たが、大きな不具合無く作業することが出来た。
気にした事といえば、内部的な座標系がインチ系のため、荒いグリッドでブロック移動を繰り返さないように注意する事と、複雑な基板形状の変更や異型パッド&パターンがあった時にどうしようかと思うくらいだ。
KicadにはDXFなどのインポート機能が無いようだ。幸い、付属のGerbviewというガーバービューワからPCBNewのデータを作ることが出来るので、新規基板の際には他のソフトでDXF→ガーバー変換をかけて読み込めばよい。
ただ、Gerbviewのエクスポート動作を既存の基板ファイルに実行すると、ファイルとして上書きになってしまうため、設計データは全て飛んでしまうようだ。(これはBZE3044より前のバージョンの挙動で、BZR3044版では試していない)
Kicadのデータ形式は全てテキストデータで、フォーマットも公開されているので、いざとなれば別名で変更基板を作成し、テキストベースで編集も可能かもしれないが、このあたりについてご存知の方がいらしたら教えて頂ければと思う。
もっとも、そこまで複雑な形状変更や、特別な対応が必要なら、商用CADを使うほうが良いと思う。
(そうは言っても、開発MLでは等長配線なども話題になっている!今後のバージョンアップにも期待したい)
最後にもう一点、付属のフットプリントは穴径やパッド寸法が自動実装対応していないものもあるようだが、これはCADの問題ではなく実装機や実装工場の仕様、ノウハウにも拠るところなので、各ユーザーが確認すればよい。
それにしても、これが無料で使用できるのだから、本当に凄い。基板設計のノウハウはあるが、CADソフトが高くて買えない、高い更新料に悩まされている人には救世主となるかもしれない!
かも。
困ったちゃん。。。
kicadの翻訳確認と動作確認を行っているが、大まかな設計の流れは大体確かめることが出来たと思う。やはり翻訳は良くないなと感じたので、当分修正が続くことになりそうだ。
現在までのところ、
- 階層を持つ回路図作成
- アノテーション(リファレンスの自動割付)
- Eeschemaのライブラリエディタ(コンポーネント作成)
- ネットリスト抽出
- Cvpcb(ネットリストへ基板フットプリントの割付)
- PCBNewでの基板外形作成、DRC設定、部品(自動)配置、配線入力、オートルータ
- 基板の面付け
をざっくり確認した。癖はあるものの、Eeschmaは良く出来ていると思う。Eagleより良いんじゃないだろうか。日本語化が効いているかも。
しかし、困ったことも幾つか。。
困ったその1:
回路図や基板にマルチバイト文字が入力できない?
何というか、、、仕方がないと思えなくも無いけど、インターフェースが多言語化対応しているなら、せめて回路図の図形テキストやコメント欄は多言語対応してもらえないだろうか。これは開発陣に訴える価値ありと思う。
困ったその2:
Kicad(PCBNew)には非スルーホール(バカ穴)という属性がない
2012-12-27 追記: BZR3256版より、モジュールエディタ(フットプリントの編集)画面内の「パッドのプロパティにて設定できるようになっています。以下は参考のため残しておきます。
これはかなり面倒だ。
開発者側はパッドで代用するか基板外形層に円を描く事を推奨しているようだが、パッドで代用する場合、Kicadの仕様により必ず
穴径<パッド径
で作成されてしまうため、仕上がりがメッキありのスルーホールになってしまう。
ジャック、コネクタなどの挿入部品でボスが立っている場合、パターンのクリアランスがとり難くなる事は想像に難くない。
また、バカ穴は機構的制約で設けることが多いため、移動禁止のロックをかけることが多いが、基板外形ラインにロックがかからない仕様なので基板外形で描くわけにも行かない。
モジュールを作成してアニュラリングを小さく取るしかないが、そもそも銅箔を設けたくない場合にどうすれば良いのか。。力技ならガーバーに落とし込んだ後で削除することも出来るが、発注前の忙しいときに多面付け基板でそんな事をしたら失敗の元だ。
穴加工→ドリリング、外形加工→金型orルーターが基本なのだから当然寸法公差も違うわけで、(基板外形で描かせるのではなく)穴という属性は持っていないとまずかろうに。
デベロッパー側にも過去に何度か問い合わせがあったようだが、未だに実装していないところを見ると対応する気が無いのかもしれない。
やはり「有料→お金を取る」という方法でない限り、ユーザーの意見は反映しきれないのだろう。
良く出来ている部分も多いだけに非常に残念だ。
「そこまで言うならちゃんとしたCADを買え!」という声が聞こえてきそうだ。会社にはそういう方向を推すかもしれない。
(あまり触っていないものの)自宅ではK2cadも入れてたりするが、こちらは懐かし(?)のpwsと良く似ているため、使い始めればサラサラと基板が書けると思う。protelよりはずっと使いやすそうだし。
それでもKicadを使ってみたい理由が別にあるのだが、それはまた別の機会に。。
kicad.jp
さっきのブログさらっと書いておきながら、ブログでちゃんとkicad.jpの紹介をしていなかった事に気づいてしまった。。。
ソフトとハードの交差点のyonekenさんと一緒にkicad.jpを立ち上げました。
これから随時情報更新していきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。
kicad 実動作での日本語検証
Poeditで翻訳データを修正する作業がひと段落した(煮詰まったとも言う)ので、実動作での検証を始めていますが、やはり実動作で検証すると色々出てきますね。
PCBNewで上部メニューより「設定」→「寸法」(Dimension)→「テキストと図形」と辿った時のダイアログですが、中央のモジュール欄の中に、更に「モジュールの…」と繰り返しています。
正確な表記には違いないですが、業務使いや長時間触ることを考えると、出来るだけ冗長な表現を避けてシンプルにまとめたいです。
十分な説明且つシンプルで分かりやすい翻訳を目指したいと思います。皆様のご意見もどんどん取り入れたいので評価をお願いいたします。
翻訳ファイルの差し替えについては、随時こちらかkicad.jpにてお知らせしたいと思います。
Kicadホットキー、右クリックなどの確認
Kicad Bazaarでの差分
Bazaarユーザーガイド を見ながらいじってみた。僕はWinを使っているので、コマンドラインでの説明を分からないなりに脳内置換してみる。
lp:~kicad-developers/kicad/doc
を引っ張ってきて、作業ディレクトリ内に展開し、そこに修正してあったkicad.po、kicad.moを上書きして差分を取ったらこんな感じになった。
こんなやり方であっているのか分からないので、恐ろしくてアップできない。
一先ずyonekenさんからのご連絡を待ちたいと思います。
もう一人のアミーゴ。
今の会社には上等なEDAソフトが無いので、(互いの子供が同じ学校の同級生という)技術部の人にチラッとKicadの話をしたところ、大っぴらではないが既にガーバー確認用にKicadを試していたとの事。
すかさず日本語版の話をして、試してもらえるようお願いをした。まだEeschemaなどは触っていないそうだが、やっぱり現場での評価が一番だと思うので、暇を見てぜひ使い倒して欲しいと思う。
願わくばKicad-Jpメンバーに入って頂きたいが、期待というのは大きいほど壊れやすいので、そこは自重。