KiCadは基板設計のためのオープンソースの統合型EDAツール群で、フランスのJean-Pierre Charrasさんにより開発されました。現在はlaunchpad.net/kicad上で多くのデベロッパーにより開発が進められています。
以下の仕様を見ると、無料で提供されていることが信じられないほど多機能、高機能なスイートである事がお分かり頂けると思います。ドネーションできると良いと思いますが今のところ見当たらないので、その代わりにGUI翻訳の一部をさせて頂きました。
KiCadの概要
- GPLv2ライセンスのオープンソースソフトウェア
- 回路図作成、コンポーネント、フットプリント登録、基板設計、各種出図機能を無制限で使用可能
- マルチプラットフォーム(Windows,linux,Mac)対応、GUIは日本語を含む18ヶ国語に対応
- KiCad.jp有志の皆さまによりチュートルアル、ヘルプファイル群も作成進行中
Eeschema(回路図エディタ)
- 階層を持つ回路図作成が可能
- バスライン入力、NC(未接続の端子)設定が可能
- ホットキー機能(ショートカットキー)
- ライブラリファイルによるコンポーネント(回路図上のシンボル図:OPAMP-IC,Tr,Rなど一つの部品)の管理
- コンポーネントにデータシートPDFなどのドキュメントをリンクできる
- 同じシンボル図のコンポーネントは「エイリアス」登録により作成の手間を省ける
- コンポーネントはピン属性(Input,Output,Bidirect,etc)の設定が可能
- ERC(電気ルールチェック)機能
- プラグイン作成により他基板設計CAD用のネットリストを出力可能
- デフォルトでSpiceネットリストを出力、LTSpiceなどと連携が可能
- Bom(Bill of Material:部品表)作成機能
- クロスプローブ機能
- コンポーネントにカスタムフィールドを登録することでBom出力のカスタマイズが可能
- PcbNew(プリント基板CAD)から、使用しているフットプリントのバックアノテートが可能
- コンポーネント側に予め「使用するフットプリントの候補」を登録することが可能
CvPCB(回路図のリファレンス番号と基板フットプリントの関連付け
- Eeschema側で使用するフットプリントを設定していない場合、フットプリントを見ながら割付が可能
PcbNew(基板設計エディタ)
- 片面から16層基板まで対応
- コメント層、ECO層あり
- ラッツネストを見ながら部品配置、配線
- 部品自動配置、簡易自動配線機能(全配線、または1ネットごと)
- ネットごと、ネットクラスごとのパターン間DRC(Design Rule Check)機能
- フットプリントのパッドにローカルクリアランス値の設定が可能
- リファレンス、定数などのシルク文字サイズを一括で変換可能
- 寸法線入力機能
- ホットキー機能(ショートカットキー)
- 実装部品の部品座標リスト出力が可能
- RS-274X拡張ガーバー、Exellonドリル、HPGL、Postscript、DXFでの出図機能
- 基板の3Dビューア機能
- 基板の複数面付けが可能
Gerbview(ガーバービューア)
- RS-274-D,RS-274-X,Exellonデータ読み込み可能
- 読み込んだガーバーをPcbNewに送って新規データの作成が可能
Bitmap2Component
- 会社ロゴマークなど画像ファイルから回路図コンポーネントや基板フットプリントを作成可能
PcbCalculator(基板設計支援アクセサリ)
- レギュレータ分圧抵抗比計算
- 電流値によるパターン幅、温度上昇、電圧ドロップの計算(IPC2221より)
- 電圧による導体間隔(IPC2221より)
- マイクロストリップライン、同軸線路などの伝送線路計算
- アッテネータ計算(T型、パイ型など)
- 抵抗カラーコード表
Kicad.jpのサイトはメーリングリストもあり、情報交換がさかんに行われていますので「基板設計CADは初めて」という方は(ベテランの方も)是非登録してみて下さい。