KiCadも4.0.x版に切り替わってから一年近く経ちました。
大きな差異は
- 配線(銅箔)層が16層から32層に拡張
- PcbnewでのPush&Shove(押しのけ配線)機能追加
- PcbnewでのPythonスクリプト対応
- 標準ライブラリのGithubdでの管理、フォーマット変更
- 図枠エディタ
あたりでしょうか。
配線として使える層が大きく拡張されたことで、使いようによってはガーバー出力しないレイヤーにジャンパーをあてがったり、便利な使い方もできそうです。
内部フォーマット的には大差ないように思いますが、折角なので全く同じ基板でテキスト差分の比較をしてみました。
元ネタはトランジスタ技術Special No.127の標準ロジックD級アンプです。
左が4.0.4版、右がBZR4022版です。
- ファイル設定
バージョン番号の他に、レイヤーが増えたことで各層の番号が16ずつ増えています。またレイヤーが増えたことで、表示に関する設定も変わっています。layer-selectionは記述方法も変わっていますね。またplotothertextという属性が追加されています。
- ネット属性
ネット名無しの属性が追加されています。これは、Pcbnewのデザインルールのクラスでも確認できます。
元の基板はBZR3256版から引き継いでいるため、基板上に穴径=ランド径のNPTHがありますが、その属性を引っ張ってきたのか、あるいはネット属性のないパターン(文字その他)が発生した際の保険なのかは不明です。(恐らく後者とは思いますが)
- フットプリント
配置済みのフットプリントなので、特に内容に変更はないようですが、改行削除していますね。
- その他
パターン、寸法線、ゾーン(ベタ面)、シルク文字、外形も、(既存のデータについては)差分なしでした。記述方法に大きな差は無いようです。
合わせマーク、実装用オフセット原点その他、基板上に配置していない属性については未検証です。
BZR4022(4017)版以前の安定版からの変更時ほどではないですが、それなりに変更はされていますね。
また当然ですが4.0.x版で追加された属性についてはBZR4022版に反映することはできないので、アップグレードの際にはバックアップ及びBZR4022版のソフト本体の保管をお勧めします。