12月 29 2016

KiCad 4.0.x版と BZR4022版の比較(基板のフォーマット編)

KiCadも4.0.x版に切り替わってから一年近く経ちました。

 

大きな差異は

 

  1. 配線(銅箔)層が16層から32層に拡張
  2. PcbnewでのPush&Shove(押しのけ配線)機能追加
  3. PcbnewでのPythonスクリプト対応
  4. 標準ライブラリのGithubdでの管理、フォーマット変更
  5. 図枠エディタ

 

あたりでしょうか。

配線として使える層が大きく拡張されたことで、使いようによってはガーバー出力しないレイヤーにジャンパーをあてがったり、便利な使い方もできそうです。

 

内部フォーマット的には大差ないように思いますが、折角なので全く同じ基板でテキスト差分の比較をしてみました。

元ネタはトランジスタ技術Special No.127の標準ロジックD級アンプです。

左が4.0.4版、右がBZR4022版です。

 

  • ファイル設定

 

バージョン番号の他に、レイヤーが増えたことで各層の番号が16ずつ増えています。またレイヤーが増えたことで、表示に関する設定も変わっています。layer-selectionは記述方法も変わっていますね。またplotothertextという属性が追加されています。

  • ネット属性

ネット名無しの属性が追加されています。これは、Pcbnewのデザインルールのクラスでも確認できます。

元の基板はBZR3256版から引き継いでいるため、基板上に穴径=ランド径のNPTHがありますが、その属性を引っ張ってきたのか、あるいはネット属性のないパターン(文字その他)が発生した際の保険なのかは不明です。(恐らく後者とは思いますが)

  • フットプリント

配置済みのフットプリントなので、特に内容に変更はないようですが、改行削除していますね。

 

  • その他

パターン、寸法線、ゾーン(ベタ面)、シルク文字、外形も、(既存のデータについては)差分なしでした。記述方法に大きな差は無いようです。

合わせマーク、実装用オフセット原点その他、基板上に配置していない属性については未検証です。

BZR4022(4017)版以前の安定版からの変更時ほどではないですが、それなりに変更はされていますね。

 

また当然ですが4.0.x版で追加された属性についてはBZR4022版に反映することはできないので、アップグレードの際にはバックアップ及びBZR4022版のソフト本体の保管をお勧めします。

 

12月 13 2016

KiCadのBomから部品の自動見積りをしてみる (Kicost)

久々の更新です。というか、下書きのまま半年も公開を忘れていたのですが。。

中小企業や個人で基板設計、製品設計をする場合、多くの部品の見積をあちこちのネット商社からかき集めてくるのも結構面倒な作業です。

KiCostは、KiCadの回路図からBom(Bill of Material、資材構成表、部品表)を抽出し、DigikeyやMouserなど複数のネット部品メーカーサイトを一括で検索して見積り出来るPythonのパッケージで、本家KiCadのサイト http://kicad-pcb.org/external-tools/ でも紹介されています。16年11月の最新版(v0.1.31)ではDigikey、RSなど5社程に対応しているようです。実行にはPython環境が必要になります。

下準備とインストール
1.pythonの環境を、https://www.python.org/downloads/ からインストールします。現在KiCadのPythonスクリプト環境は2.7系列です。Windowsの場合、インストール後にシステムの環境変数に”C:Python27″と”C:\Python27\Scripts”を設定します。

2.Windowsのコマンドプロンプトより、”Easy_install kicost”と入力すると、PyPI(https://pypi.python.org/pypi/kicost)からkicostをダウンロードして自動的にインストールします。上手くいかない場合はインストール用のセットアップツールがないケースが考えられるので、最新のPythonをインストールしてください。

使用法

1.Eeschemaを開き、各コンポーネントにメーカーの部品番号を割り当てます。コンポーネント上で”E”キーを押すとダイアログが開くので、「フィールドの追加」をクリックし、フィールド名に”manf#”、フィールドの値にメーカーの部品番号を入力します。

2.すべて入力が終わったら、上部ツールバーより「BOM」をクリックし、「生成」「閉じる」とクリックします。画面上変化はありませんが、プロジェクトのディレクトリにファイル名.xmlというxml形式のBomファイルが生成されます。

3.Windowsのコマンドプロンプトより、

kicost -i ファイル名.xml

と入力すると、kicostが実行され、各サイトにアクセスし、見積結果をxslファイルに記録します。見積結果は、部品単価、発注可能な商社と残数、最安ケースでの集計結果などをきれいに表示してくれます。

参考文献 https://kicost.readthedocs.io/en/latest/

12月 13 2016

74HCU04のSpiceモデル

個人的なメモです。

Spiceシミュレーションをする際、デジアナ混在、或いはインバータを使って発振をするような場合に74HCU04のモデルが欲しいなと思ったことは何度かあります。

NXPあたりでもIbisやSpiceモデルを公開しています。

74HCU04: Hex unbuffered inverter

 

以前は登録が必要だった気がします。.cirとして内部でサブサーキットとして記述しているようで面倒だなと思ったら、.lib形式で個人で公開されている方がいました。

http://www.analog-innovations.com/

”Device Models, & Subcircuits” のリンク内に色々公開されています。

HCU04もCMOSで作っているので、使えそうです。

3月 12 2016

基板Cadアンケート

ふと思い立って、基板Cadアンケートを作ってみました。

業務用とプライベートを分けていますので、どしどし投票してください。

追加して欲しいCadがあったら、コメント欄からリクエストをお願いします。

今、仕事でお使いの基板CADは?
(3つまで選択可)

View Results

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今、プライベートでお使いの基板Cadは?
(3つまで選択可)

View Results

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4月 27 2015

超快適!KiCadの設定方法 2

前回の記事では、KiCadのシステムテンプレートの概略を確認しました。これを踏まえて、参考用として幾つかテンプレートファイルを作成しました。お使いのリビジョンにあうものをダウンロードしてください。

BZR4022 両面基板テンプレート L/S=0.2mm
BZR4022 両面基板テンプレート L/S=0.15mm
BZR4022 4層基板テンプレート L/S=0.15mm
R56xx 両面基板テンプレート L/S=0.15mm

ファイルを置く場所は、

  • Windowsでは マイドキュメントフォルダ以下の /kicad/templates
  • UNIXでは ~/kicad/templates/
  • Macでは ~/Documents/kicad/templates/

ですので、ここに解凍します。あとはKiCadを起動して、メニューより「ファイル」→「新規」→「テンプレートから新規作成」と進み、作成したいファイル名を入力するとテンプレートの選択ダイアログが表示されます。「ユーザテンプレート」タブにて、テンプレートを選択し、設定内容を反映したファイルを作成できます。

アイコン(metaディレクトリに置いたicon.png)を選択すると、それに対応したinfo.htmlが表示されています。各テンプレート内のinfo.htmlには、設定可能な項目のダイアログ画面を貼っていますので、これを参考にオリジナルのテンプレートを作成してみてください。

4月 27 2015

超快適!KiCadの設定方法 1

KiCadで何枚も基板を設計していると、基板の設計仕様や基板メーカーの製造基準、自分のオペレート方法に合わせて、毎回設定を更新するのはとても面倒です。

今までは、設定のみを済ませたブランクのファイルを用意し、都度コピーしていました。文字の大きさや表示レイヤ、DRCやネットクラスの他に、ライブラリのパスも設定でるので、毎回設定画面でライブラリの追加や削除をする面倒な作業から解放されますが、細かい設定がどうなっていたのか、ファイルを開いて毎回確認するのも面倒です。

KiCadには「テンプレートファイル」からプロジェクトを作成する便利な方法がありますので、これを活用します。

「システムテンプレート」と「ユーザーテンプレート」

テンプレートにはデフォルトでインストールされている「システムテンプレート」とユーザーが自由に設定できる「ユーザーテンプレート」があります。特に構造に違いはありません。システムテンプレートはインストールfディレクトリ内の

  • /share/template/

に配置されています。テンプレートとして最低限必要なものは

  • テンプレート化したいファイル一式、プロジェクトファイル(.pro)、回路図ファイル(.sch)、基板ファイル(.kicad_pcb) など
  • テンプレート用のアイコンファイル(.png、64×64)
  • 説明用の info.html ファイル (UTF-8)

になります。必要に応じ、ライブラリやモジュールファイル、ネットリストなども含めて読み込むことが出来ます。

system-template1

system-template2

ディレクトリ名と各テンプレートのファイル名を同一にして配置、metaディレクトリの中にテンプレートファイルの概要を記述したHTMLファイル “info.html”、テンプレを読み出す時に必要なアイコン “icon.png” が配置されています。この2つのファイル名は決め打ちです。必要に応じ、”info.html”内で使用する画像ファイルなどを追加することも可能です。

ユーザーテンプレート

KiCadのユーザーテンプレートファイルは予め所定のフォルダに置く必要があります。

  • Windowsでは マイドキュメントフォルダ以下の /kicad/templates
  • UNIXでは ~/kicad/templates/
  • Macでは ~/Documents/kicad/templates/

このフォルダ配下に、システムテンプレートと同様に各テンプレートファイル一式を置きます。マニュアルによると、環境変数として KICAD_PTEMPLATES が定義されている場合には、そちらも認識できるようです。

次回は作成したテンプレートファイルを公開し、中身と使用方法を追っていきます。

2月 19 2014

KiCad 講習会 懇親会 開催のお知らせ

ご要望の多かったkicad.jpとしての KiCad講習会と懇親会をいよいよ 2/23(日) に開催する運びとなりました!!

発表翌日には定員20名の枠が埋まってしまい、現在補欠枠にもご登録頂いている為、会場枠を更に広げられないか調整中ですので、まだまだ参加できる可能性はあります。会場枠については分かり次第、下記URLにて発表いたします。

詳しくは、KiCad講習会と懇親会開催のお知らせ をご覧下さい。

8月 10 2013

KiCad Windows Builder

久しぶりのKiCadネタです。 KiCad本家サイトでは今年に入り安定版のアップデートを頻繁にしています。2013年のバージョンは7/7のBZR4022版でようやく落ち着くのかなという印象です。

が、Testing版ではどういう機能があるのか、或いは安定版が出る前にGUIと翻訳データのミスマッチが起きていないか確認したいことがあります。 GUIと翻訳データのミスマッチは、ソースコードを拾ってきてPoeditというソフトを使えば確認と修正が出来ますが、実際の機能、挙動はソースをビルドしてみるしかありません。 ノンプログラマの私は指をくわえてみていることしか出来ませんでしたが、強い味方?が現れました。

KiCad Windows Builder

KiCad同様にLaunchpad.netで公開されています。これをダウンロード後展開、同梱されているバッチを実行すると、ソースコードを引っ張ってくるバージョン管理ソフトBazaarやwxWidgets、MinGwなどビルドに必要な環境を丸ごとダウンロードして環境構築から最新のKiCad(Testing版)ソースコードの取得、ビルドまで行ってくれるという優れもの、というフレコミです。早速試してみます。

  1.  上記urlからKiCad-winbuilderの最新版をダウンロードし、任意のフォルダに解凍します。「フォルダ名にスペースを含まないこと」ということですので、Cドライブ直下に解凍しました。
  2. (一応)解凍したファイル群の中のsetenv.batをテキストエディタで開き、47行目付近の “John Doe <john.doe@example.com>” を自分の名前とメールアドレスに変更しておきます。
  3. make.batを実行します。

実行結果は図の通りです。

kicad-winbuilder

環境構築とLaunchpadからのKiCadソース取得は出来ましたが、数時間待ってもビルド完了せず、”NOT built successfully”と失敗に終わりました。あちこち設定の修正が必要かもしれません。

 

このあたり、情報をお持ちの方は是非KiCad.jpまでご連絡ください。

(2013-10-26 追記)

上記について、セキュリティソフトをカスペルスキーからウィルスバスターに変更することで、特に環境を変えることなく無事にビルドが完了し、KiCadも立ち上がっています。

4月 22 2013

CERN、OSSの統合型プリント基板設計CAD「KiCad」の開発サポートを表明

既にあちこちに書かれていますが、CERN(欧州原子核研究機構)がKiCadの開発サポートを表明しています。

(※項目の日本語訳はKiCad.jpにあります)

CERNによるKiCad開発ロードマップでは、押し退け配線やDRC機能強化、ライブラリブラウザやUIの改善、STEPやIGES(3D-CAD用の中間データフォーマット)サポート、回路図上でのネット属性のサポートなど、非常に多くの改善が予定されています。

個人的には回路図側でのネット属性のサポートとSTEP、IGESのサポートに注目しています。回路図側で各々の信号にパターン幅やクリアランス(パターンの間隔)、作動信号や特性インピーダンスの属性を予め与えておけば、基板設計の際に回路図との往復が減り、より基板設計に集中できます。また3D-CADの中間データをサポートすれば、3D-CADから基板外形、板厚、大物部品の位置指定、配置禁止、配線禁止領域などのデータをやり取りして、現物作成前にケースとの干渉やリード線の引き回しなどを検討できます。

円弧、ティアドロップ、パッドのコーナーのR付けなど、まだまだサポートして欲しい機能はありますが、個人でちょっとした基板を設計、実装するには十分ではないでしょうか。日本語化も忙しくなりそうです。

4月 01 2013

トランジスタ技術誌にKiCadによるプリント基板設計の特集が記載されます

ちょっと宣伝になりますが、CQ出版社「トランジスタ技術」誌2013年5月号(4/10発売)に、KiCadを使った基板設計特集記事が記載されます。

USB-DACを題材にしたチュートリアルや基板設計事例、オートルータ(自動配線機能)による配線や、このサイトでも記載しているKiCadとLTSpiceの連携、基板設計のTipsなど密度の濃い内容になっています。

添付CD-RomにはKiCad日本語版、設計事例データ、KiCadのSpice用コンポーネント(回路シンボル)などが収録予定です。またKiCadではなくEagleをお使いの方向けには、部品ライブラリが収録されるとの情報が届いています。

その他にも、プリント基板CAD「Quadcept」の機能限定無料版なども収録されるとの事です。

プリント基板CADと基板設計の基礎を知りたい、また紙面でのまとまった情報が欲しい方は、是非お手に取って頂ければ幸いです。

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