KiCad 回路図用ライブラリ作成 No.2

KiCadのコンポーネント(回路図のシンボル)ライブラリは雑然としていて、回路図入力時に複数のライブラリを行ったり来たりする事になります。ライブラリの構築方法については個人の好みや会社の運用方法によるので一概には言えません。そこで複数のコンポーネントを束ねる「ライブラリファイル」を自作してみます。

※現在、KiCadのDeveloperのMLでは、ライブラリ構築について見直しの議論が上がっています。次期バージョンでどうなるか分かりませんが、自分用ライブラリを作っておくのが無難と思います。

作成方法

1.KiCadを起動し(下図)、Eeschemaを実行します。

KiCADメインパネル
2.Eeschemaにてコンポーネントエディタのアイコン(ノートと鉛筆のアイコン)をクリックします。

componenteditor_0
3.コンポーネントエディタのウィンドウが開くので、上部ツールバーの左から2番目の「作業ライブラリの選択」アイコン(上図)をクリックし、コピーしたいコンポーネントがあるライブラリを選択します。
componenteditor1
4.左から5番目のFETのアイコンをクリックします。
componenteditor3
5.これから作成するライブラリに入れたい(コピーしたい)ファイルを選択します。ここでは”R”を選択しています。
componenteditor4
6.コンポーネント”R”が読み込まれますので、

componenteditor5
7.左から10番目のアイコン「新しいライブラリへ現在のコンポーネントを保存」をクリックします。
component_editor_7.png
8.ライブラリ保存のダイアログが開くので、ここでは「register.lib」として保存します。
componenteditor8
9.ウォーニングが出るのでOKを押してからコンポーネントエディタを閉じます。
component_editor_9.png
10.ライブラリを回路図で使用できるようにするには、まずEeschemaのメニューバーより「設定」→「ライブラリ」をクリックします。
library_setting.png
11.回路図で使用するライブラリと、その優先順位を定義するダイアログが開くので、図中1、2の順で右のボタンからファイルパスを追加して、回路図に関連付けます。回路図への関連付けはプロジェクト毎に都度確認を行います。
librarysetting2
これで新しいコンポーネントライブラリファイルの作成と回路図への関連付けができました。このライブラリにその他の良く使うコンポーネントをコピーするには、2から8の手順を繰り返します。
次回はコピーしたコンポーネントの編集をしてみます。

KiCad 回路図用ライブラリ作成 No.1

検索エンジンでこのブログに来て下さる方の多くがKiCadのライブラリについての情報を求めていらっしゃるようですので、これから少しずつ書いていきます。

KiCadの「ライブラリ」の概念は下図のようなイメージです。
(※下図は回路図用のライブラリです。部品のランド形状「フットプリント」については別途まとめます 2012/09/17 追記)

 

 

KiCad_Library_1
同属の部品を1ファイルにまとめたものが「ライブラリファイル」(黒枠)で、この中に部品がたくさん登録されています。

1個1個の部品に相当するものはコンポーネントといい、青枠で示されているものです。コンポーネントには回路図上のシンボル図形(図柄)ピンの電気的属性(I-O、電源など)、部品の説明、検索時のキーワード、基板上で使うフットプリントなどを予め登録できます。

また、コンポーネントに対し、データシートなどのドキュメントを指定できます。回路図からデータシートなどのドキュメントにアクセスできます。このドキュメント指定は、ローカルのPDFやその他のファイルはもちろん、URL指定も可能ですので、うまく使えば社内部品データベースとのリンクもスムーズにできると思います。

ゲートICやOPアンプのように、内部に複数のユニットを持つ部品は、「ユニットの数」を指定してゲート単位の絵柄で登録できます。基板設計時に、パターンの引き回しの都合でゲートを交換することがあります。そういったときに便利な機能です。

NANDゲートやインバータのように、一つのゲートに複数の記述方法がある場合、ド・モルガン変換シンボルも一緒に登録することが出来ます。

また、同じ回路記号を幾つも登録しないですむように「エイリアス」機能があります。

図で言うと74LS00にエイリアスコンポーネントとして7400を登録し、個別登録の手間を省いています。さらに、エイリアスのコンポーネントには個別にドキュメントの指定が出来ます。

KiCadインストール時にもライブラリが付属していますが、自分流、自社流にカスタマイズする事で非常に便利に使うことが出来るはずです。

どんなCADでもライブラリの管理、運用方法で使い勝手が大きく変わるので、とても重要なポイントだと思います。