KiCadは本当に業務で使えるのか? TXTデータのメリット

最近会社にキャリア採用で入った方が、いつの間にか?KiCadを試用してくれていました。

もともと真っ当なCADシステムを入れていなかった会社に紹介して、ワンステージ上がって貰う足がかりにしようと、休日にGUIの翻訳を始めたのですが、何処に行っても「変わりたくない人」「認めたくない人」というのはいるもので、一向に普及が進んでいませんでした。

この方は以前ORCADを使っていたそうで、Kicadを紹介したら
「結構クセがあるねぇ、大変ですよ」
と言いながらも、Eeschemaでコンポーネントを作成し、回路図を描き上げていました。

描き上げた回路図の定数その他、確認、修正する段階に入り、
「バックアノテーションというか、画面上で一括で定数とか変更できないの?」
と質問を受けました。商用のCADにはスプレッドシート風の画面で、Ref番号や定数その他を変更できる機能を持つものがありますが、KiCadにはありません。

私「私も欲しいと思ってるんですけど、今のところ無いですねぇ・・」

Uさん「これってデータはtxtですよね?」

私「はい、フォーマットも公開されてますよ!」
(とKicad.jp上のヘルプファイル翻訳URLを連絡。ヘルプファイル翻訳者の方々に感謝です)

Uさん「じゃ、作ろうか」

私「えっ?!」

というわけで、その方は半日ほどでEEschemaの.schファイルを編集するプログラムをC++で作ってしまいました。パラメータファイルを指定して、そこに書き込まれている内容で修正を掛ける、というもので、Ref番号や定数のフォントサイズなど一括で修正をかけたそうです。

回路図、基板、ライブラリなど全て ASCII形式 TXTデータで、しかもフォーマットのドキュメントが公開されているというメリットを最大限に感じた瞬間でした。

KiCadは有料のCADに比べると見劣りする部分は色々ありますが、そこは「オープンソースソフトウェア」「TXTデータ形式」という2大メリットをフル活用し、「無いものは作ってしまえ!」の精神でどんどんカスタマイズしていけば良いことです。

昔の話ですが(今もそうなのかな?)私も永く使っていた某商用のCADは、バージョンアップの度にバイナリデータのフォーマットを変更し、他社のCADが持っているデータインポート(コンバート)機能を使えないようにしていたと聞いたことがあります。

そんな事をするより、もっと実際の機能を改善するために時間を割いて欲しいと思います。これからの時代、どちらのスタンスが生き残るんでしょうか。

(2012-12-27 追記: ASCII→TXTに訂正)